今年度2021年春、中学校の教科書が改訂されました。
現場で生徒と接している身として、まさに「大」改訂だと実感しています。
では、何が大改訂であったか。
ズバリ、英語の授業の進め方です。
今までの英語学習が根本的に変えられたと言っていいほどに感じています。
2020年までの教科書、当然私たちの習ってきた英語学習では、一般的に以下の順序でした。
・まずはアルファベット、数字、曜日や月。
・そしてbe動詞、is , am ,
are これらがある文では、前に出せば疑問文、後ろにnot を付ければ否定文。
・その後、一般動詞へ。先頭にDo をつければ疑問文、動詞の前にdon’t を付けて否定文。
1年生後半では、三人称単数を習い、一般動詞の後ろに s や es を付けて・・
疑問文や否定文ではDoes , doesn’t を使って。
・それらに前後して、疑問詞 What , When , Where など
・1年途中で助動詞 can ,
will なども履修しました。
この順序はお父さんお母さん世代はもちろん、現在の大学生、高校生でも共通でした。
それが今回の改定では!
中学1年の教科書でアルファベット大文字小文字と細かく習いません。
現在は小学4年生から英語授業が導入されており、今年中学1年に上がった生徒たちはすでに3年以上英語に触れてきているからです。
アルファベットは当然わかってますよね?という前提条件で進みます。
そして、一番驚くところは、lesson 1 の基本文。
I am Meg.
I like Japanese food.
I can read hiragana. で始まります。
つまり! be動詞、一般動詞、助動詞の入る文を一度に習うことになりました。
文法的にbe動詞があった場合の疑問文は・・、一般動詞のある文の疑問文は・・、といった理屈はまずは習わない、一つのフレーズとして覚えましょう、という方法です。
これは小学校の英語学習に沿った内容となります。
(今の中学1年生にとっては、今までと同様のやり方。)
小学英語では文法的にどうこうはやりません。
例えば、
What food do you like ?
というフレーズを覚え、food の部分を少しずつ変化させ語彙を広げていきます。
つまり、
What food do you like ? を
What color do you like ?や
What sport do you like ? へと応用し、さらに
What color do you see ? や
What sport do you play ? 進めていきます。
なるほど、理屈ではないんですね。
今回の1年教科書でも
I like Japanese food.
このjapanese food をスポーツ名にしてみたり誰かの名前にしてみたり。
またlike も eat や
cook に変化してみたり。
同様に助動詞 can の文章も応用ができます。
まずは使い方を理解し応用し、文法はそのあとで、という手法です。
今までの進め方と新しい進め方、どちらが良い悪いということは分かりませんし、全員に当てはまることもありません。
しかし、残念ながら今までの英語学習では中〜高6年間学習し、ある程度話せる、読める、聞き取れるとなる人はごくごく少数でした。
あくまでテストや受験のための英語に重きを置いてきたためではないかと思います。
事実、英語のテストではそれなりにいい点を取っている生徒でも外国人とスラスラ会話できる人はあまり見たことがありません。
新しい指導要領でこれがどこまで変わるかは数年、もしくは十数年かかるかも知れませんが、新しい取り組みとしては面白いと思います。
ついでに?
中学3年生の英語にも少し触れます。
今までも現在完了形( have + 過去分詞)は履修していましたが、新たに現在完了進行形も加わりました。
これは昨年度までの高校1年生の履修内容でした。
また、仮定法過去も高校から中学3年へ降りてきました。
If I were a bird , I could fly. や
I wish I could drive a car. といった事実と異なる場合に were や
could といった過去形で表現するといった内容です。
あぁ、高校でならったなぁ、という懐かしい方も見えるかもしれませんが、今年からは中学3年で習います。
現場で接する身としても常日頃、学ぶ続けなければいけないなぁと実感しています。
2021.5.21 |